京都のプロフェッショナルに学ぶ

KCJSの授業内での取材記事です。

狩衣の作り方はもう千三百年以上守られている! 吉田装束店の堅持と改変

狩衣を作る職業の珍しさ

shozoku1吉田さんは神職向けの装束を作る職人でいらっしゃいます。お客さんの好みと要求に応えて、狩衣の文様と色と柄の組み合わせを決めます。平安時代の貴族が着ていた狩衣は、今では、神主が着る神職の装束に変わりましたが、狩衣を作る上での伝統はずっと受け継がれてきて、今ではもう千三百年以上の歴史があります。私はそんなに昔からの物がよく守られていることに驚きました。実は、吉田さんのような特別な装束を作る職人の存在にもびっくりしました。中国には、三千年前に作られた「漢服」という伝統的な日常着がありますが、今はもう日常的に着られていません 。漢服は今では漫画の展覧会でしか着られないので、単なるエンタテイメントの衣装だと言えます 。着る機会が少ないので、漢服専門の職人がいるかどうかさえ分かりません。ですから、 装束士という職業が長い年月にわたって存在してきたということ自体非常に珍しいことだと思います。

狩衣の形の継承

shozoku2狩衣は、装束としてずっと着られてきただけではなく、その形とそれを作る上での技術も全部守られてきました。正式な装束は、神主の位によって、色や柄が異なりますが、神主の普段着である狩衣は、色と柄の組み合わせは決まっていません。しかし、形と作り方は、平安時代と全く同じです 。例えば、 縫う時のピッチさえ千三百年前から決まっています。吉田さんはその理由をそのような伝統的な技術は昔からの知恵で、それに従えば一番きれいに作れるし、作る時 に問題が生じないので、わざわざやり方を変える必要がないからだと説明してくださいました 。それから、一枚の狩衣を作るには、たくさんの時間がかかります。狩衣は分業で作られるので、10人ぐらいの職人さんが協働で完成させます。染められた糸で織られた生地を吉田さんが切ります。時には、縫うこともしますが、たいていは、縫うことを専業とする職人さんがやります。つまり、狩衣は全部手作りで、完成までに一ヶ月以上かかるわけです。私は吉田さんを初め、各工程にかかわる全ての職人さんが昔からの狩衣の作り方と形を守ってきた、その忍耐力に感動しました。前述の漢服を例に取れば、中国ではその服は現在、工場生産されていて、手作りの物は全然ありません。単なるファッション、衣装としてのみ残っていて、漢服に伴う技術が失われてしまっています 。質と美しさより、早さのほうが重視されているわけです。

伝統を守るための改変

shozoku3吉田さんは完成品を見せてお客さんの笑顔を見た時に幸せになります。それは吉田さんにとって、装束に関する知識と技術の伝承の結晶が認められた時です。しかし、時代が進むと、装束の職人技を継承するための改変は避けられません。吉田さんは、狩衣を作る上での知識や技術を家族内だけで受け継いでいこうと思っていません。娘さんに限らず、家族以外の人でも興味さえあれば、自分がおじいさん、そしてお父さんから受け継いだ技術を教えたいと言っています。吉田装束店の三代目である吉田さんは、装束の作り方が自分の家族だけにとどまらなくてもいいと考えています。伝統的な知識や技術を持っている職人にとって、そのような考えは進歩的で、なかなかないと思います。中国にも、籐細工のような伝統的な手工芸品の職人がいますが、独自の技術に対して誇りを持っているので、家族にしか教えません。いくつかのテレビ番組によるとその職人さん達が子供が技術を習いたがらないので、 継承人を見つけられないそうです。今、伝統的な文化を守るためには、吉田さんのように技術を他人に分け与えるということが必要なのではないでしょうか 。

吉田装束店に行って、装束士としての吉田さんに見られるの 堅持と変革に胸を打たれました。吉田さんは職人として、狩衣を大切にしています。中国の手工芸と比べて、伝統的な型をうまく守っていることはすごいと思います。しかし、そのためには改変が全然要らないわけではありません。吉田さんの伝統を守ろうという強い決意のおかげで、改変が生まれました。堅持と改変は伝統を守る上で切り離せないと思います。中国の職人もそのようにすると、もっと美しい伝統的な手工芸が受け継がれるようになると思います。

 

ユーシン・チン

KCJSサマープログラム2013

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投稿日: 2014年4月25日 投稿者: カテゴリー: 2013Summer

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